III. 米国入国初年度および帰国年度の申告形態(Dual Status)

米国への入国初年度及び帰国年度については、いつ入国したかにより、次に挙げる2通りまたは3通りの申告形態のうち、有利な方法を選択することができます。
1. 非居住者としての申告(Non-resident)
2. 年間の一部分について居住者として申告(Part-year-resident)
3. 居住者としての申告(Full-year-resident)

1. 非居住者として申告する場合

A. 課税の原則

米国への入国初年度または日本への帰国年度の米国滞在日数によっては、米国税制上非居住者として取り扱うことができます。こうした非居住者については、米国源泉所得のみが米国で課税対象となるため、米国入国後に受け取る毎月の給料は、日米いずれの国で支払われようとも米国源泉所得として取り扱われます。ただし、賞与については、支給対象期間に基づき米国源泉所得として取り扱われる部分のみが課税の対象とされます。また、日本での受取所得、受取配当金、日本にある不動産の賃貸収入などについて米国の報告義務はありません。

 
B. 項目別控除

項目別控除については、米国で購入した家に対する固定資産税、支払利息、医療費控除など非居住者には認められない項目があります。


C. 人的控除

2018年から2025年までの人的控除は認められておりません。

D. 非居住者の適用税率

非居住者として申告する場合には、たとえ既婚であっても夫婦個別申告の税率が適用されます。

2. 年間の一部について居住者(Part-Year-Resident)として申告する場合(Dual-Status)

A. 課税の原則 

米国へ赴任した年及び日本へ帰国した年(暦年)の米国滞在日数が183日以上であるなど、I.2.B.で説明した実質的滞在テストに該当する場合には、その年度(暦年)の一部については、米国税制上居住者として申告することが原則です。例としては、米国入国前までは非居住者期間となり、米国源泉所得のみが課税対象とされ、米国入国以後は居住者となり、全世界所得が課税所得として取り扱われることとなります。
尚、その暦年の米国での滞在日数が183日に満たない場合でも、次の3つの条件を満たした場合には、入国より居住者として取り扱うことができます。
(1)その年度の滞在日数が連続31日以上であること
(2)その滞在日数の合計が、入国日から12月31日までの合計日数の75%以上であること。
(3)米国入国年度の翌年に実質的滞在テストを満たすこと。


B. 項目別控除

定額控除は認められておりませんので、申告の際には、項目別控除を選択しなければなりません。

C. 人的控除

2018年から2025年までの人的控除は認められておりません。

D. 適用税率

暦年のうち、一定期間のみ居住者とされる者については、非居住者の場合と同様に、たとえ既婚者であっても夫婦個別申告の税率が適用されることとなります。

. 年間居住者として申告する場合

年の中途で米国に赴任した者でも、その年の12月31日時点で既婚者かつ居住者である者については、その年度の始めから居住者であったとして、夫婦合算申告を選択することができます。この選択を行った場合には、2.A.に述べた課税原則は適用されません。