- 調整総所得前控除(Before AGI Adjustment)
いくつかの控除項目が申告書上あげられていますが、ここでは日本人駐在員に関係しそうな項目のみ説明いたします。
A. 個人退職年金口座(Individual Retirement Accounts)
IRAは、個人が銀行等で個人名義で開設する退職年金口座です。会社の401(k)プランや退職金制度に加入する資格がない場合、あるいは一定の所得金額以下の個人で個人的にIRAを購入した場合には、次の金額までの掛金について所得から控除することが認められています。
申告形態 | 限度額 |
本人のみ | 7,000ドル |
本人および配偶者 | 14,000ドル |
(50歳以上は一人$1,000加算が可能) |
ただし、日本人駐在員の給与水準及び口座の早期解約に係る罰金などの関係で、日本人駐在員の中でこの制度を利用している方はあまりいないものと思われます。
B. 定額預金等の早期解約違約金
定期預金などを満期日到来前に解約した場合に違約金を取られる場合があります。この違約金は、銀行から送付されてくるForm 1099-INTに記載されて来ることになっていますが、この違約金は所得からの控除が認められています。
C. 離婚・別居手当離婚または別居中の相手に支払う手当です。(2019年からは法改正のため支払いは控除対象外。また受け取りは所得とならない。)
D. 引越費用の個人負担分2018年から2025年の間は米国軍事に係る引越費用のみ控除対象。
2. 定額控除(Standard Deduction)定額控除方式の場合には、その申告身分によって以下の金額が認められます。
申告形態 | 2024年 |
夫婦合算申告または一定の条件を満たす寡婦または寡夫 | 29,200ドル |
夫婦個別申告 | 14,600ドル |
世帯主 | 21,900ドル |
独身者 | 14,600ドル |
申告書作成上、定額控除と項目別控除のいずれを選択するかは、納税者の選択によりますが、次の場合には、項目別控除を選択しなければなりません。
●夫婦個別申告を行っている場合で、一方が項目別控除方式を採用した場合のもう一方の配偶者の控除方式
●非居住者の場合、および居住期間が1年に満たない年度(入国年度及び帰国年度)の場合
項目別控除の代表的な例は、以下の通りです。
A. 医療費
保険などでカバーされていない医療費、薬代等の合計がAGIの7.5%を超える場合に、その超過額が控除の対象として認められます。
B. 支払税金
州及び市に支払った所得税(またはセールス税)、固定資産税、動産税など実際に支払った税金(10,000ドルの上限)と日本の住民税等で外国税額控除の対象にしなかった場合には、控除をとることができます。
C. 支払利子
住宅2軒分までの住宅ローンに係る支払利息が、全額控除の対象となります。ただし、ローン合計が750,000ドルを超える場合には、当該超過部分に係る支払利息は控除できません。また住宅を抵当にしての、いわゆるエクイティ・ローンは住宅の修繕費用に限り住宅ローンと同様に支払利息控除となりますが、そのローンの合計上限は750,000ドルとなっています。(ただし夫婦個別申告の場合は、上記の半額までが控除対象です。)
D. 慈善寄付金
宗教、慈善、科学、文学、教育、アマチュア・スポーツ競技の育成などの目的で設立された組織で、慈善団体として米国で承認を受けた者に対する寄付が控除の対象となります。
E.その他控除可能項目
その他項目別控除の対象となるものには、以下のものがあります。
●ギャンブル上の損失、ただし、ギャンブルで得た利益額を超えないこと
●故人の所得に課せられる連邦遺産税額など
これらA.からE.の各控除項目ごとの合計額が、項目別控除方式での控除額となります。 (収入が多い場合、控除額が制限されます。)
4. 人的控除(Personal Exemption)
2018年から2025年までは人的控除が取れなくなっています。
5. 支払い税額の確定
A. 申告形態
申告形態(Filling Status)は、次の4種類に区分されており、それぞれ異なる税率表により税額を計算することになっています。
(1)独身(Single)
(2)夫婦合算申告又は寡婦(寡夫)申告(Married Filing, Joint Returns or Surviving Spouses)
(3)夫婦個別申告(Married Filing, Separate Returns)
(4)世帯主(Heads of Household)
B. 税額控除
最も一般的な税額控除項目としては、外国税額控除(Foreign tax credit)があげられます。日本人駐在員の場合では、米国赴任後も一定期間、住民税を支払うことになるでしょう。こうした住民税等については、米国での申告上外国税額控除の対象になると考えられます。
また1998年から始まった子供税額控除や教育関係の控除も忘れることはできません。
税率表に当てはめて計算した税額から、各種税額控除を差し引いた金額がその年度の支払税額です。ただし、給与等の金額からは、一定金額の源泉徴収がなされていますし、他に所得がある場合には、予定納税により一部税金の支払いがなされているものと思われます。また、2ヶ所以上から給与の支払いを受けている場合など、社会保障税の上限金額以上に源泉徴収されている場合も考えられます。この過払社会保障税も、税金の予納とみなされますので、源泉税額、予定納税額及び過払社会保障税額をその年度の支払い税額から控除して最終支払税額を算定します。尚、最終税額がマイナスすなわち、還付になる場合もありますが、当該還付税額については、そのまま還付を受けるか、翌年度の予定納税額に充当するいずれかの処置をとります。