従業員に対する給与は、原則として源泉徴収の対象となりますが、ここでいう給与には、現金で支払われるものばかりでなく、従業員が受ける経済的利益も含まれています。
源泉徴収の方法としては、一定の算定から税額を求める方法と源泉徴収額表から税額を求める方法が主に使われています。源泉徴収の方法にかかわらず、源泉徴収税額は、給与の額、扶養者の数、結婚の有無及び給与の支払い期間によって異なってきます。
従って、源泉徴収が適正になされるために、扶養者数等の控除に関する資料として、Form W-4を雇用者に対して提出することとなっています。このFormの提出を怠った場合には、独身者で何の控除もないという前提で源泉徴収が行われることとなります。
尚、経済的利益については、毎月源泉徴収するのではなく、少なくとも年1回にまとめて源泉徴収する取扱いも認められています。この場合に使用する源泉税率も、他の所得とは別 に25%を使用することも認められています。実務上、経済的利益については、他の所得と区別 するため、Form W-2(源泉徴収票)を別に発行する場合もよくみられます。
州税及び地方税についても給与から源泉徴収されることとなります。米国では、州によって所得に対する税率が異なっており、一概にはその源泉徴収方法について言えませんが、一般的には連邦税での源泉徴収と同様の方法がとられているようです。州税及び地方税の源泉徴収税額も、連邦税の場合と同様にW-2に記載されますので、年間支払額についてはW-2に明確に反映される必要があります。
3. 社会保障税(FICA Tax)日米社会保障協定により、5年以内の駐在員は米国で社会保障税を払わなくても良くなりました。以下はそれに該当しない場合や手続をしていない場合です。
給与所得については、連邦税、州税、地方税の源泉徴収に加えて、社会保障税も源泉徴収されることとなっています。社会保障税については、雇用者、被雇用者がそれぞれ同額ずつ負担することとされていますので、雇用者は被雇用者から源泉徴収した社会保障税と同額を内国歳入庁宛に払い込みます。
FICA Taxは年金関連と医療関連の二つの部分がありますが、前者については、一定の金額以上の給与には課されないこととされております。この上限所得の金額と税率は毎年変更されますが、2024年は以下の通 りになっています。
税率 | 上限所得額 | 上限税額 | |
年金関連 | 6.20% | $168,600 | $10,453.20 |
医療関連 | 1.45%+0.9%(一定所得以上) | 無 | |
合計 | 7.65% | ||
(2024年) |
雇用者、被雇用者の両者とも、上記税率による納税義務があります。
米国に居住する日本人が受け取る給与は、原則として日本で支払われたものも含めてFICA税の対象となってきます。また、このFICA税は源泉徴収によってのみ納税が可能となるため、手続的には煩雑さが生じます。というのは、日本法人がForm 2678をIRSに提出し、かつ、雇用者の負担すべきFICA税の支払を行わなければならないことになるからです。こうした事務手続き上の煩雑さを避けるために、米国雇用者が前もって計画的にその日本人の給与から連邦税・州税とともにFICA税も源泉徴収しておき、日本法人がFICA税を支払わなくともすむ様な方策を講じておく必要があります。
連邦税上、その年度の支払税額の90%以上または、前年支払税額と同額以上を源泉徴収もしくは予定納税により納付していることを要求していますが、給与所得以外の所得がある場合には、その所得に係る税額について予定納税をしておく必要が出てきます。
予定納税は、4月15日、6月15日、9月15日そして翌年1月15日の計4回に分けて行われます。